これからの働き方 (AI人材は絶滅するのか?)

 

目次 

 

1.テレワークへ移行

コロナ収束後もテレワークを許可し始める企業が出てきた。これは未来、中小企業にも大きく広がっていくだろう。なぜなら中小企業の方がテレワークの恩恵を受けられるからだ。大企業の場合、各国に支社を置いているので世界中から人材を確保するという点ではメリットは少ないが、中小企業の場合は異なる。今後10年でインドやアフリカからも優秀な人材を確保できるようになるだろう。

 

1.1 中小企業は知名度が無いので世界から人材が集まらない?

現在ではその可能性が高い。しかしテレワークが主流になればジョブマーケットが変わる。よって人材マッチングプラットフォームも海外の優秀な人材と目立たない企業が積極的にマッチング出来るものに変わっていくと考えられる。

 

またそうなる以前にも現地で飛び込み営業することは出来る北海道大学発スタートアップのAWLはインド工科大の就職課と関係を築き、1人で現地に赴いては直接学生を採用した。結果、世界中から仕事の申し込みが溢れ一時期は1つの仕事の倍率が800倍になるようなこともあった。

 

テレワークによって人材マッチングのプラットフォームが変われば、世界中から人材を取り入れることが出来る

 

1.2 言語の壁

社内の公用語を英語化することは難しい。楽天でさえかなりの年数を要した。しかし人材の流動性が高いベンチャーなどでは社内の英語化はまだ容易である。また今後は翻訳技術の発展も期待できる。例えば音声認識分野最大手の「科大訊飛(iFLYTEK)」は、大規模な国際会議やイベントでリアルタイム翻訳や自動議事録作成サービスを提供している。音声をリアルタイムでテキスト化+翻訳するので翻訳者を通じてのやりとりが省かれ時間と費用の面で効率が良い。国際的なイベントでは同サービスは頻繁に使われており高い精度を誇ると言う。今後このようなサービスがさらに発展しZoomなどのWeb会議ツールに備わる可能性は高い。

 

2.市場の独占化

日本の大企業は、これからの時代は生き残りづらくなる。なぜならテック企業のGAFAやBATH(中国のGAFA)がAIを駆使しメディア、自動車、宇宙、ゲーム、コンビニ産業に参入してきているからだ。少ない精鋭企業がAIを駆使し、業界内の既存の企業を食いつぶしていく可能性が高く市場の独占化は起こり得る。

 

勿論 昨今のEUによるGAFAへの規制などもあり、ある程度は緩和されるだろう。しかしGAFAによる様々な分野への進出は止められない動きだと考える。

 

日本企業はどう太刀打ちするべきか。資金力がある企業(例:ソフトバンクトヨタ)GAFAへ真向から対抗している。ソフトバンクは群戦略、トヨタはウーブンシティでAI企業を巻き込む。 ソフトバンクプラットフォーマーとしてトヨタは街のAI化で戦おうとしているように見える。ソフトバンクは投資やプラットフォームを得意としている企業であるし、トヨタはハードウェアが強いので彼らの戦略は自然だ。そしてプラットフォームとハードウェアが重なれば強いのでソフトバンクトヨタが手を組むのも頷ける。自動運転のこともありGAFAへ対抗するという利害は一致している。

 

また日本独自の「何か」で差別化することも一つの考えだ。例えばYahoo JAPAN!は様々な日本市場のデータを多く持っておりGoolgeは手を出しにくい。またCyber AgentのAbema TVは日本に根付いた番組(例えば将棋)や外国人ではなく日本人の恋愛リアリティショーを配信し外国企業と差別化を図っている。 

AIの技術面で言えばOCRサービス(手書きを文字に変換するサービス)が挙げられる。日本は、ひらがなやカタカナ、漢字など文字の読み取りが難しいという日本語特有の問題がある。これを解決するためには日本にある手書きデータ活用、それに合わせてAIを調整する必要も出てくる。これは海外勢が参入しにくい分野だ。

 

また日本の強みであるBtoBにAIを積極導入することも考えられる。海外でも多くの企業が産業資材や機械の分野で日本製品を使用している。

 

2.1 GAFAのいくつかの企業は今後もTOPであり続ける

私はGAFAが将来他の企業に時価総額を抜かれる可能性は昔と比べて低いと考えている。なぜならAIを駆使して他の産業に入る動きやグローバル化による少数精鋭企業の誕生は大量に資金を作るからだ。よって新興企業の買収も簡単にできるようになる。GAFAは彼らの芽が出る前に買収してしまうので、将来GAFAを凌駕する可能性は低い。例えばグーグルによるディープマインドの買収が挙げられる。

 

勿論これは可能性の話で他企業が積極的に対抗すれば、GAFAの内いくつかの企業は後退する可能性もある。対抗しようとしている企業の例としてスタートアップのThe Browser Companyなどがある。

参考:https://jp.techcrunch.com/2020/07/15/2020-07-14-chrome-competitor-the-browser-company-quietly-raises-5m/

 

3.終身雇用の終了

テレワークへの移行、圧縮された情報が伝わりやすいこと、AI技術の発展。これらは終身雇用の終了を促進する。テレワークが進めば実力主義や副業主義に移行する必要があるだろうし、今後AIによって事務作業が徐々に減ってくる。また情報が伝わりやすいので技術の変化も早くなる。技術の変化が起これば大企業は一つのことしか出来ない人材は切り捨てたいと思うだろう。このことから将来、終身雇用は終わる可能性が高いことが分かる。

 

実は経団連も日本の大手企業がGAFAに追いつけなかった理由として変化に迅速に対応できなかったことだと考えているだろう。これからAIの民主化という大きな変革が迫るなかで経団連も大企業も同じ失敗は繰り返したくないはずだ。

 

4. 個がネットワーク化し協力して働く時代へ

テレワーク化、終身雇用の終了、少子高齢化は個のネットワーク化を助長する。テレワーク化が進めば時間が出来る。終身雇用が終了すれば一つの会社に執着しなくなる。そして少子高齢化で企業内の優秀な人材の割合は減る。よって個がネットワーク化し、助け合う文化が出来る確率は高い。

 

この働き方は既に始まっておりNVIDIAは優秀な機械学習エンジニアを副業ありで世界中から募集したり、Yahoo JAPAN!やライオンも副業人材を募集し始めている。

 

その最中で強く生き残れる人材はどのような人だろう。私は2つの要素があると考える。

一つ目はネットアピールが上手い人だ。例えばTwitterなどでフォロワー数が多い人である。Twitter上で転職募集をする人も多い。また海外では有名な技術系のYoutuberがGAFAから勧誘されている例もある。これからはインターネットでの発信が重要になる。

 

2つ目に一つの強い技術を持っている人だ。テレワーク化、ネットワーク化、AI化、終身雇用の終了、多くの人が副業できる時代になれば大量に「普通」の人が市場に溢れる。AI化が進み事務作業が少なくなる、複数の仕事を同時に持てるようになる、テレワーク化とネットワーク化によって人材集めが楽になり、欲しい技術を持った人をピンポイントで集められる、終身雇用が終了する。これらの流れは普通の人を市場に溢れだすことに拍車をかける。よって強い技術を持つことは重要となる。

 

4.1 AI市場は一度冷え込むか

その確率は高い。コロナなどでベンチャーへの投資額が減っているニュースもよく聞く。またAIブームに乗ろうとプロジェクトを立てたものの上手くいっていない企業が多いという話も聞く。よって多くの人は市場は冷え込むとの予測を立てている。しかし筆者はそれほど冷え込むとは考えていない。

 

そもそも現代は情報の密度が高く伝わりやすいという今までのAIの波にあった状況とは大きく異なる

 

ネットの普及によって、どんなことでも独学で学べるようになりアカデミックな資料にも簡単にアクセスできるようになった。翻訳技術が発展すれば それこそ世界中の情報にアクセスできるようになる。5Gの貢献も今後大きくなるだろう。また情報の密度も高くなっている。本要約サイト、ニュース要約サイト(live door ニュース)、個人の技術ブログなど、まとまった情報を直ぐに手に入れることができるようになった。

 現代の私たちは圧縮された情報に簡単にアクセスできるのだ。

 

またデータの蓄積量が増えることも注目すべきだ。今日ではAIを実装したくてもデータ量が少ないため実装が出来ないというケースが多々あった。深層学習が広まり データを集める企業は急増したため将来この問題は解決されるだろう。

 

さらにはAIが人間を超えるシンギュラリティは分野によって違うことを認識すべきである。例えば画像認識ではタスクとデータ量にもよるがに人間の目と同等に近い。しかしその他のタスクでは未だ人間を超える兆しがないものもある。よってこれからは分野によってボチボチ成果が出始め商用化が進む。どこかの分野で成果が出ればAI市場は潤いを保つのでAI市場全体が冷え込むことは考えにくい

 

このことから一度AI市場が冷え込む確率は高いと言えるが、冷え込みが長く続かない確率もまた高いと言える。

 

4.2 AIの自動化でAI人材の市場は縮小化するか

この流れはほぼ確実に来るだろう。しかしこれは何もAI人材にだけ起きていることではない。Webエンジニアにも過去に同じ流れがきた。WixWordPressはウェブサイト作りを自動化するものであった。しかしWebエンジニアは未だ生き残っている。理由としては、結局技術を抽象化すれば どこかで具体化をする人材が必要になり、また技術を自動化をすれば その自動化する機器をコントロールする人材も必要になるからだ。よって自動化によってAIの人材市場が思ったよりも大きくならない可能性はある。しかし殆どの人が生き残れないという可能性は低い。

 

反論としてWebサイトの需要とAIの需要は全く違うということも考えられる。現在ではWebサイト作りの需要の方がAI作りの依頼よりも圧倒的に多い。しかし将来、いくつかの分野でシンギュラリティに到達した場合、AI人材の需要が急増する可能性は高い

 

4.3 AI人材やWebエンジニアが もっと恐れるべきこと

これは海外へのアウトソーシングである。今日では海外へのアウトソーシングはコミュニケーションが問題で積極的に行われてこなかった。また行われたとしても作業工程の一部分だけであった。しかしこれはテレワーク化や翻訳技術の発展によって変わる可能性がある。SlackやZoomなどの普及でテレワークが容易になり、自動翻訳でコミュニケーションを取ることが出来れば、海外人材の活用は容易になる。AI人材やWebエンジニアは自動化より海外へのアウトソーシングを警戒すべきだ。

 

4.4 AI需要を読むうえで大切なこと

 技術が追い付いても普及しないケースがある。以下三つがポイントとなる。

 

消費者マインド

人間には恒常性維持機能が備わっているので、技術が追い付いても需要が出てくるのに時間がかかる。消費者が追い付けるようにアプローチを考える必要がある。

例:現金廃止。テレワーク。自動運転

 

法規制

例:Uberの日本進出、自動運転、ドローン

 

利権

例:オンライン学習 (文部科学省

 

書き終えて

今回の記事では これからの働き方について書いた。この記事はあくまで推測であり全て書いた通りにはならないだろう。ただこれは起こるか否かではなく、どれくらい起こるか、またはどれくらいの確率で起こるかの話だ。よってある程度自分の生き方や働き方を考えることは重要であるように思う。